コラム

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業と、商店街起業・承継支援事業の申請要件を解説

商店街起業・承継支援事業

東京都および公益財団法人東京都中小企業振興公社による「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」は、都内の商店街で開業を目指す女性、または39歳以下の男性を支援する事業です。また、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と併願申請が可能な事業として、都内の商店街で開業や事業継承を行う際の店舗改装費などを一部助成する「商店街起業・承継支援事業」があります。本記事では、商店街での開業を目指す女性や事業継承を目指す人に向けて、上記事業の申請要件などを解説します。

東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と「商店街起業・承継支援事業」

近年、商店街の運営状況は全国的に厳しい状況と言われており、中小企業庁が実施した「商店街実態調査」でも、大型商業施設の進出による来街者数の減少や、経営者の高齢化による後継者問題など、さまざまな課題を抱えていることがわかっています。空き店舗も依然として減らない状況の中、商店街を活性化するためには、新規開業や、事業承継を促進していくことが重要です。
(参考:中小企業庁「令和3年度商店街実態調査報告」)

このような状況を受け、東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社は、都内の商店街で開業を希望する若手や女性を支援し、商店街の活性化を促進するため、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と「商店街起業・承継支援事業」の2つの事業を行っています。ここからは、各事業について支援内容などを解説するので、申請時の参考にしてみましょう。

事業概要

「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と「商店街起業・承継支援事業」について、それぞれ事業の概要は、以下の通りです。

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」は、女性または若手の男性が都内の商店街で実店舗を新規開業する際に、必要経費の一部について助成する事業です。商店街におけるリーダーになり得る人材に対して開業を支援することで、都内商店街の活性化を図ることを目指しています。本事業は、「商店街起業・承継支援事業」との併願が可能です。
(参考:公益財団法人東京都中小企業振興公社「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」)

対象者

申請できる対象者は、以下の通りです。

・女性または令和5年3月31日時点で39歳以下の男性
・「創業予定の個人」もしくは「個人事業主」であること
・申請予定店舗が「都内商店街」であること
・開業が各回交付決定日以降であること
・申請時点で都内に限らず実店舗を持っていないこと

この他、本事業では、独創的な事業プランを考え主体的に商店街の活性化に取り組む意欲のある人が対象とされています。

対象業種・事業

助成の対象となる業種は、以下の通りです。

業種内容
卸売業・小売業各種商品小売業
織物・衣服・身の回り品小売業
飲食料品小売業
機械器具小売業
その他の小売業
不動産業・物品賃貸業不動産取引業
不動産賃貸業・管理業
物品賃貸業
学術研究・専門・技術サービス業写真業
宿泊業・飲食サービス業宿泊業
飲食店
持ち帰り・配達飲食サービス業
生活関連サービス業・娯楽業洗濯・理容・美容・浴場業
その他生活関連サービス業
娯楽業
教育・学習支援業その他の教育・学習支援業
医療・福祉療術業
サービス業(他に分類されないもの)機械等修理業

また対象事業は、開業予定者が都内商店街で新規に実店舗を開設する事業です。(都内に限らず申請時点で実店舗を持っていない場合に限る。)なお、実店舗を持たずにネットショップなどで営業活動をしている方が、新たに店舗を開設する場合も対象です。

対象経費・助成限度額

対象経費は、「事業所整備費」「実務研修受講費」「店舗賃借料」の3つです。対象経費の内容と助成限度額は以下の通りです。

■事業所整備費
対象経費 内容 助成率および助成限度額 助成対象期間
店舗新装・改装工事費 商店街で開業するために行う店舗の新装または改装に要する工事費用 助成率:3/4以内
助成限度額:400万円
交付決定日から開業日が属する月の翌々月末まで(最長1年間)
設備・備品購入費 商店街で開業するために行う店舗の設備・備品の購入に要する費用
宣伝・広告費 ホームページ制作費およびチラシの作成費(新聞折り込み代を含む)
※助成対象経費の上限は150万円
■実務研修受講費
対象経費内容助成率および助成限度額助成対象期間
実務研修受講費商店街で開業するに当たり必要な実務を習得するため、実務研修を受講する費用助成率:2/3以内
助成限度額:6万円
交付決定日から開業日が属する月の翌々月末まで(最長1年間)
■店舗賃貸料
対象経費内容助成率および助成限度額助成対象期間
店舗賃借料助成事業の実施に必要な店舗等を、新たに借りる場合の賃借料助成率:4/3以内
助成限度額:
1年目は月額15万円
2年目は月額12万円
交付決定日から2年間

助成対象期間は、「事業所整備費」と「実務研修受講費」が、「交付決定日から開業日が属する月の翌々月末まで(最長1年間)」、「店舗賃借料」については「交付決定日から2年間」です。

商店街起業・承継支援事業

「商店街起業・承継支援事業」は、都内の商店街で個人または中小企業者が開業などをする際に必要な経費の一部を助成する事業です。商店街における開業者や事業後継者の育成などを支援することで、都内商店街の活性化を図ることを目指しています。
(参考:公益財団法人東京都中小企業振興公社「商店街起業・承継支援事業」)

対象者

対象者は、以下の通りです。

・「創業予定の個人」もしくは「中小企業者(法人・個人事業主)」であること(一部「事業承継」区分除く)
・申請予定店舗が「都内商店街」であること
・開業が各回交付決定日以降であること
・申請者もしくは法人の場合は、当該法人の従業員(正社員に限る)が開業予定であり、店舗の事業に専ら従事できること
・都内商店街で新規店舗の「開業」、既存店舗と異なる事業を始める「多角化」、店舗を引き継ぐ「事業承継」のいずれかを予定していること

この他、本事業では、年齢や性別、個人・法人に関わらず、商店街の活性化に意欲のある人が対象とされています。

対象業種・事業

助成の対象となる業種は「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と同様ですが、対象事業は、「開業」「多角化」「事業承継」の3つの区分ごとに決められています。

区分対象事業の内容
開業開業予定者が、都内商店街で新規に実店舗を開設する場合
多角化実店舗を持つ中小企業者が、既存事業とは異なる分野へ進出するため、都内商店街で既存店舗とは異なる場所において実店舗を新たに開設する場合
事業承継中小企業者の後継者が、都内商店街で既存事業を引継ぎ、店舗改装などをする場合で以下のいずれかに該当するもの(現経営者が生存している場合は、親子関係のない第三者も含む)
1)当該事業を営む既存店舗で事業を行うとき
2)既存店舗と同じ商店街または既存店舗とは異なる都内商店街に店舗を移転し、事業を行うとき

「開業」「多角化」「事業承継」それぞれの区分で申請要件が異なるため、詳細は令和4年度募集要項を確認しましょう。

対象経費・助成限度額

対象経費は「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と同様に、「事業所整備費」「実務研修受講費」「店舗賃借料」の3つです。対象経費の内容と助成限度額は以下の通りです。

■事業所整備費
対象経費 内容 助成率および助成限度額 助成対象期間
店舗新装・改装工事費 商店街で開業するために行う店舗の新装または改装に要する工事費用 助成率:2/3以内
助成限度額:250万円
交付決定日から開業日が属する月の翌々月末まで(最長1年間)
設備・備品購入費 商店街で開業するために行う店舗の設備・備品の購入に要する費用
宣伝・広告費 ホームページ制作費及びチラシの作成費(新聞折り込み代を含む)
※助成対象経費の上限は100万円
■実務研修受講費
対象経費内容助成率および助成限度額助成対象期間
実務研修受講費商店街で開業するに当たり必要な実務を習得するため、実務研修を受講する費用助成率:2/3以内
助成限度額:6万円
交付決定日から開業日が属する月の翌々月末まで(最長1年間)

■店舗賃借料

対象経費内容助成率および助成限度額助成対象期間
店舗賃借料助成事業の実施に必要な店舗等を借りる場合の賃借料
※令和4年度より、事業承継区分も対象
助成率:2/3以内
助成限度額:
1年目は月額15万円
2年目は月額12万円
交付決定日から2年間

助成対象期間は、若手・女性リーダー応援プログラム助成事業と同様です。

申請スケジュール

令和4年度の申請スケジュールは、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」「商店街起業・承継支援事業」と同一です。

申請エントリー期間(ホームページ)申請書類提出(郵送)書類審査面接審査助成対象者決定(交付決定日)
第1回4月5日(火曜日)~4月19日(火曜日)4月下旬~5月上旬5月下旬~6月中旬7月上旬8月1日(月曜日)(予定)
第2回6月27日(月曜日)~7月14日(木曜日)7月下旬~8月上旬8月下旬~9月中旬10月上旬11月1日(火曜日)(予定)
第3回9月26日(月曜日)~10月14日(金曜日)10月下旬~11月上旬11月下旬~12月中旬令和5年1月上旬令和5年2月1日(水曜日)(予定)

なお、申請書類の提出はエントリー制です。上記の申請エントリー期間内にエントリーができない場合、申請の手続きが行えないため事前に各回のスケジュールを確認し、ホームページから申し込みましょう。

また、申請のエントリーフォームには「ネットクラブ会員サービス」への登録が必要です。

令和2年度~令和3年度の採択結果

「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と「商店街起業・承継支援事業」の令和2年度から令和3年度の採択結果は以下の通りです。

■令和2年度(全2回)

事業申請者数採択数採択倍率
「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」65件13件5.0倍
「商店街起業・承継支援事業」108件43件(30件)2.5倍(3.6倍)
※カッコ内は併願のうち若手女性事業採択者を除いた、商店街事業の採択者実数

■令和3年度(全2回)

事業申請者数採択数採択倍率
「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」85件18件4.7倍
「商店街起業・承継支援事業」151件47件(29件)3.2倍(5.2倍)
※カッコ内は併願のうち若手女性事業採択者を除いた、商店街事業の採択者実数

商店街でのコワーキングスペース開業に最適な「むじんLOCK」

「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」および「商店街起業・承継支援事業」は、都内の商店街で開業を希望する若手や女性への支援を通して、商店街の活性化を促進するための取り組みです。

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