コラム

小規模事業者持続化補助金とは?令和3年度補正予算による新設枠や採択率まとめ

小規模事業者持続化補助金

個人事業主や小規模の法人に対して、政府が補助金を支給する「小規模事業者持続化補助金」。2022年も引き続き募集が継続され、通常枠に加えて5つの特別枠(賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠・インボイス枠)が新設されています。本記事では、令和3年度補正予算における新設枠の詳細を含め、小規模事業者持続化補助金の概要や対象経費、これまでの採択率などを紹介します。

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が事業を持続させていくために、販路開拓や生産性向上等の取組みに対して、その経費の一部を補助するものです。申請時の相談や公募受付は、商工会および商工会議所が窓口となっており、自社の経営を見直し、持続的な経営計画を策定する必要があります。

低感染リスク型ビジネス枠の最終申請受付は締切済み

なお、令和2年度第3次補正予算で実施されていた、新型コロナウイルス感染症感染防止と事業継続を両立させるための「小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」については、最終申請受付が終了しています。現在申請できる補助金の内容は、事前に確認しておきましょう。

2021年度(令和3年度)補正予算で新設された5つの特別枠

令和3年度補正予算による小規模事業者持続化補助金は、通常枠に加え、5つの特別枠が新設されています。新設された5つの特別枠について、概要と対象者を解説します。

(参考:全国商工会連合会「令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 一般型 申請について」)

賃金引上げ枠

賃金引上げ枠は、最低賃金の引き上げが行われた中、それに加えて更なる賃上げを行う小規模事業者に対する政策支援です。補助事業実施期間に、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上(既に達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+30円以上)とした事業者が対象になります。ただし、この要件を満たさない場合は、交付決定後でも、補助金の交付はされません。業績が赤字の事業者については、補助率を3/4へ引き上げ、加点による優先採択が実施されます。

卒業枠

卒業枠は、補助事業実施期間中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者の従業員数を超えて規模を拡大する事業者が対象となります。交付が決定していても、補助事業の終了時点の従業員数がこの要件を満たしていなかった場合は、補助金の交付はされないので注意しましょう。

後継者支援枠

後継者支援枠は、将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組みを行う後継者候補としてアトツギ甲子園のファイナリストになった事業者が対象です。

創業枠

創業枠は、産業競争力強化法に基づく認定市区町村や認定連携創業支援等事業者が実施した「特定創業支援等事業」による支援を、公募締切時から起算して過去3年の間に受け、かつ、過去3年の間に開業した事業者を対象としています。創業した事業者を重点的に政策支援するための新設枠です。

インボイス枠

2021年9月30日から2023年9月30日に属する課税期間で、一度でも免税事業者であった、または免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス発行事業者に登録した事業者が対象です。ただし、補助事業の終了時に登録が確認できないなど、要件を満たしていない場合は、交付決定後でも補助金交付はされません。

令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>の概要

令和3年度補正予算(2022年募集)で実施される小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が今後複数年にわたり相次いで起こる制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入等)に対応していくための施策です。小規模事業者が取り組む販路開拓等の取組みの経費の一部を国が補助し、地域の雇用や産業を支える小規模事業者の生産性向上と持続的発展を図ることを目的としています。

(参考:全国商工会連合会「令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>第4版」、「令和元年・3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型> ガイドブック  第4版」)

補助対象者の要件

小規模事業者持続化補助金の補助対象となる「小規模事業者」とは、常時使用する従業員が20人(商業・サービス業の場合は5人※宿泊業・娯楽業を除く)以下の法人・個人事業主が該当します。以下の表にわかりやすくまとめます。

【小規模事業者の定義】

業種常時使用する従業員の人数
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

【補助対象者の範囲】

補助対象となりうる者補助対象にならない者
・会社および会社に準ずる営利法人
(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、
特例有限会社、企業組合・協業組合、士業法人
(弁護士・税理士等))

・個人事業主(商工業者であること)

・一定の要件を満たした特定非営利活動法人
・医師、歯科医師、助産師
・系統出荷による収入のみである個人農業者
(個人の林業・水産業者についても同様)
・協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
・一般社団法人、公益社団法人
・一般財団法人、公益財団法人
・医療法人
・宗教法人
・学校法人
・農事組合法人
・社会福祉法人
・申請時点で開業していない創業予定者
(例えば、既に税務署に開業届を提出していても、
開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は対象外)
・任意団体 等

また、以下の①~③全ての要件を満たしていることが条件となります。

①資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
②直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
③本補助金の受付締切日の前10カ月以内に、小規模事業者持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていないこと

補助率・補助上限額

補助率と補助上限額等は以下の通りです。いずれか1つの枠でのみ申請が可能なため、新設枠に応募する場合は、公募要領の追加申請要件をよく確認しましょう。

通常枠賃金
引上げ枠
卒業枠後継者
支援枠
創業枠インボイス
補助率2/32/3※2/32/32/32/3
補助上限額50万円200万円200万円200万円200万円100万円

※賃金引上げ枠の赤字事業者については補助枠が3/4まで引き上げられます。

補助対象経費

小規模事業者持続化補助金<一般型>の対象となる経費は、以下の11項目です。内容によっては対象とならない場合もあるため、事前に公募要領の「補助対象経費」を確認しましょう。

【補助対象の経費項目】

補助対象経費科目活用事例
機械装置等費補助事業の遂行に必要な製造装置の購入等
広報費新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等
ウェブサイト関連費ウェブサイトやECサイト等の構築、更新、改修、運用に係る経費
展示会等出展費展示会・商談会の出展料等
旅費販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
開発費新商品の試作品開発等に伴う経費
資料購入費補助事業に関連する資料・図書等
雑役務費補助事業のために臨時的に雇用したアルバイト・派遣社員費用
借料機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
設備処分費新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等
委託・外注費店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼(契約必須)

※ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額及び交付すべき補助金の額の確定時に認められる補助金総額の1/4が上限であり、ウェブサイト関連費のみによる申請は不可。
※設備処分費は、補助対象経費総額及び交付すべき補助金の額の確定時に認められる補助対象経費の総額の1/2が上限。

申請の流れ

ここからは、小規模事業者持続化補助金の「申請」から「事業完了」までの流れをまとめます。

【申請から補助金受領までの基本的な手続きの流れ】

申請の流れ内容
①申請の準備公募要領」の「応募時提出資料・様式集」を確認し、申請に必要な要件等を確認し書類を作成、用意します。
また、事業所所在地管轄の商工会議所または商工会にて事業支援計画書等の作成を依頼します。
② 申請手続き
(事業者が実施)
電子申請または郵送により申請書類を提出。
電子申請は、「補助金申請システム(Jグランツ)」を利用し、事前に「GビズIDプライムアカウント」を作成しておく必要があります。
③ 申請内容の審査提出された申請内容について、外部有識者等により審査がおこなわれます。
政策的観点から優先採択のための加点処置が講じられます。
加点項目については「公募要領」の「採択審査」を確認しましょう。
④ 採択・交付決定審査終了後、採択案件を補助金事務局ホームページに公表し、採択の結果を通知します。
採択決定者は、「交付決定通知書」が通知されます。
⑤ 補助事業の実施「交付決定通知書」を受領後、申請時に提出した補助事業計画に沿って事業を実施します。
事業は補助事業実施期限までに完了する必要があります。
⑥ 実績報告書の提出
補助事業終了後、その日から起算して30日を経過した日又は最終提出期限のいずれか早い日(必着)までに
補助事業の実施内容と経費内容(支出内容)を取りまとめた実績報告書を提出します。
⑦ 確定検査・補助金額の確定実績報告書のほか、支出ごとの証拠書類について、事務局が審査・確認を行い、補助金額が確定します。
⑧ 補助金の請求補助金額が確定した後、「補助金確定通知書」が送付されます。
金額を確認して、精算払請求(交付規程様式9号)を補助金事務局に行います。
⑨ 補助金の入金補助事業者に入金がおこなわれます。
り込みには数週間程度かかります。
⑩ 事業効果報告補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」(交付規程様式第14号)を文書等で提出が必要です。

今後の公募スケジュール(2022年6月時点)

小規模事業者持続化補助金の今後のスケジュールは、以下の通りに予定されています。

【第9回受付締切分】
・申請受付締切日 :2022年9月20日(火)
・事業支援計画書交付の受付締切:2022年9月12日(月)
・事業実施期間:交付決定日から2023年5月31日(水)
・実績報告書提出期限: 2023年6月10日(土)

【第10回受付締切分】
・申請受付締切日 :2022年12月上旬
・事業支援計画書交付の受付締切:2022年12月上旬
・事業実施期間:未定※
・実績報告書提出期限:未定※

【第11回受付締切分】
・申請受付締切日 :2023年2月下旬
・事業支援計画書交付の受付締切:2023年2月中旬
・事業実施期間:未定※
・実績報告書提出期限:未定※

第11回受付締切分をもって最終受付の予定となっています。
※ 現時点で未定の日程については商工会事務局HPまたは商工会議所事務局HPにて随時情報が公開されますので、確認しましょう。

(参考:全国商工会連合会「令和元年・3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 <一般型> ガイドブック  第4版」)

申請窓口

応募申請手続きの窓口は、商工会議所地区については「日本商工会議所」、商工会地区については「全国商工会連合会」と2つあります。それぞれカバーする地区が異なり、商工会議所は主に市および特別区、商工会は主に町村の窓口です。申請の際には、事業所の管轄地域にある商工会議所もしくは商工会の確認が必要となるため、事前に窓口の確認を行いましょう。また、申請は書類郵送の他、電子申請システム「Jグランツ」による電子申請も受け付けています。

(参考:全国商工会連合会「令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>」)
(参考:商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局「令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>」)

小規模事業者持続化補助金<一般型>の採択率

<一般型>の「申請件数」と「採択件数」、「採択率(小数点以下四捨五入)」の推移は以下の通りです。

【小規模事業者持続化補助金<一般型>の採択実績】

公募回採択発表日応募件数採択件数採択率(%)
第1回R2.5.228,044件7,308件91%
第2回R2.8.719,154件12,478件65%
第3回R3.1.2213,642件7,040件52%
第4回R3.4.2816,126件7,128件44%
第5回R3.8.3112,738件6,869件54%
第6回R3.12.229,914件6,846件69%
第7回R4.4.279,339件6,517件70%

小規模事業者持続化補助金の活用事例

実際に小規模事業者持続化補助金を活用し、販路開拓や生産性向上等の取組みをしている事例を紹介します。

OEM受託をしていた⽊製品製造業者が自社ブランド商品を確立し販路拡大

木製品制作の⾼い技術⼒を⽣かして多種多様な⽊⼯品を⼿掛けている⽊製品製造業者は、これまで受注のほとんどを⼤⼿家具⼩売店等からのOEM(他社ブランド製品の製造)受託に頼っていました。小規模事業者持続化補助金を活用し、ロゴマーク・HP・パンフレット等の制作により認知度向上を図ることでOEM先に依存することなく、独⾃に収益源を確保することが可能となりました。

(参考:東北経済産業局 産業部 経営⽀援課「小規模事業者持続化補助金 活用事例集」)

出張撮影業者がドローン撮影での新しいサービスを提供し新規顧客獲得と単価アップ

小規模事業者持続化補助金を活用し、通常の写真撮影に加え、ドローンを活用した動画・静止画撮影サービスを提供できるよう設備を増強しました。販促ツールとして、サンプル動画CD、出張デモフライトのチラシ・DMを作成し新規顧客の獲得。WEB配信用の動画、各種印刷物の掲載画像についても高品質かつ臨場感のあるイメージカットを提供することが可能となり他社との差別化、単価アップにつなげました。

(参考:経済産業省「事例ナビ」)

高齢者対応のテーブルと椅子を導入し、新たな需要を掘り起こし売上げアップにつなげる

周辺に寺社が点在し法事ニーズが多い立地環境の寿司店では、小規模事業者持続化補助金を活用し、これまでお座敷のみだった店内にテーブルと椅子を導入。「高齢者が不便なく食事を楽しめる店」づくりを行うことで、椅子席がないために取りこぼしていたニーズを取り込む経営計画を策定し採択されました。

(参考:経済産業省「補助金の申請事例・小規模事業者持続化補助金①」)

小規模事業者持続化補助金を活用してむじんLOCKの導入が可能

小規模事業者持続化補助金は、さまざまな活用方法があり、その用途も企業によってさまざまですが、スマートロック連携課金決済システム「むじんLOCK」の導入にも活用することが可能です。

むじんLOCKはスマートロックと連携する非接触型のサービスで、店舗やスペースの無人化・省人化運営を実現するシステムです。こうした先端ツールは大企業が先行して導入しているイメージですが、小規模事業者持続化補助金の補助対象である業務効率化や生産性向上を促し、販路開拓につながります。今回の記事を参考に、小規模事業者持続化補助金を活用し、むじんLOCKの導入を検討してみてはいかがでしょうか。