コラム
IoTでできることとは?活用事例や将来性を解説

近年、社会のさまざまな分野でIoTが活用されています。IoTを活用してできることにはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、「IoT」の説明を始め、導入する際のメリット・デメリットや活用方法、業界ごとの活用事例を紹介します。

IoTとは

IoTとは、”Internet of Things”の略称で「モノのインターネット」と訳されています。これまで通信機能を搭載していなかった身の回りのモノをインターネットにつなげる仕組みのことで、テレビや冷蔵庫などの家電や、工場で使用される機器など、あらゆるものをインターネットにつなげることを指します。近年、IoT技術を活用し、モノの利便性の向上や業務効率化に役立てられるようになり、今後もさまざまな分野や領域での活用が期待されています。

IoTを導入するメリット

IoTを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

企業のコスト削減につながる

企業はIoTの導入により、コスト削減につなげることができるでしょう。例えば小売業では、IoT技術を活用して得られたデータをもとに、消費者ニーズを予測して需要と供給の最適化を図ることができます。これにより、不要在庫を削減し、適材適所への人員配置を行うことも可能となります。また製造業では、工場の生産ラインにIoTを導入することで稼働状況を見える化し、より効率的な生産体制を整備できるでしょう。

利用者の利便性が向上する

IoTの活用によりモノがインターネットに接続されることで、利用者の利便性が向上します。例えば、エアコンなどの家電を遠隔操作して外出先からスイッチを入れることや、電車やバスなどの運行情報をリアルタイムで確認できるなど、日常生活が便利になるでしょう。また、農業や医療などさまざまな分野でもIoTの活用は進んでおり、より便利で快適な社会を実現できる可能性があります。

データ活用により新たなビジネス機会につながる

IoTを導入し、取得したデータを分析・活用することで、これまで気づかなかった需要を把握できるというメリットもあります。ビッグデータから消費者のニーズを把握し、製品のさらなる改良や新商品の開発などに活かすことも可能となり、新たなビジネス機会の創出につながるでしょう。

IoTを導入するデメリット

IoT導入にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあるため、活用の際には事前に把握しておくことも必要です。

セキュリティリスクが高くなる

あらゆるモノがインターネットと接続し、データを送受信するようになると、ハッキングや情報漏えいなどのセキュリティリスクが高まります。そのため、IoTを導入する際はセキュリティ対策を十分に行う必要があります。

IoTに強い人材の育成が必要

近年では、インターネットの普及によりIT市場やWeb業界を担うエンジニアなどの人材不足が懸念されています。中でも、IoTを担う人材不足は今後加速していくと言われており、データ分析やトラブル発生時に的確に対応できるIoT技術者の育成が求められています。

通信障害の影響を受けやすい

IoTの活用が進むと、それだけたくさんの電波が飛び交うことになります。電波の混線による誤作動や、通信遅延などが起こる可能性があるほか、大規模な通信障害が発生した場合の損害は大きくなることが予想されます。

IoT技術を活用してできること

IoTの活用によって実現できることは、大きく分けて4つあります。

モノの状態を知る

重要な情報をリアルタイムで得るために活用されるケースとして、モノの状態を知る機能が挙げられます。例えば、外出先から自宅のドアの施錠状況を確認したり、エアコンの稼働状況を把握したりすることが可能です。また、企業はモノの利用頻度や利用時間などのデータを活用してユーザー情報を直接手に入れることができるため、マーケティング領域での活用も期待できます。

モノの動きを検知する

IoTを活用してモノや人の動きを検知することもできます。動きを検知するセンシング技術とIoT技術を組み合わせることにより、モノの周辺環境や人の動きなどの変化をリアルタイムで把握することが可能です。例えば、電車やバスの運行状況や混雑状況などの変化する情報を、自宅にいながら逐一把握することができます。

モノを操作する

離れた場所にあるモノを遠隔で操作することもIoT技術によるものです。スマートフォンなどの端末を使って、外出先からエアコンや照明のスイッチを入れることができます。電源のオン/オフなどの単純操作に加えて、エアコンの温度設定や照明の明るさ調整なども行えます。

モノ同士で通信する

上記に紹介した3つの機能を複合して、インターネットに接続したモノ同士でデータを送受信し複数の電子機器を自動的に動作させることもできます。例えば、信号機から受信したデータをもとに自動で減速するなどの自動運転や、AIスピーカーと連携したスマートスピーカーなど、近年ではさまざまな分野で製品化されています。

IoTの活用事例

ここでは、さまざまな分野で利用されているIoTの活用事例を紹介します。

社会におけるIoTの活用事例

まずは社会においてIoTがどのように活用されているのか、分野別に見ていきましょう。

【製造業】建設機械の情報を遠隔で確認する「コムトラックス」

「KOMTRAX(コムトラックス)」は、コマツが開発した機械情報を遠隔で確認できるシステムです。機械の稼働情報や警告情報などのデータを収集し、稼働管理やメンテナンス管理のサポートを行っています。工場内や離れた拠点の機械など、世界中で稼働する建設機械を一括で管理することで、燃料を補給する時期の予測やメンテナンス履歴から故障のリスクを把握するなどの対応を早期に行うことを可能としました。また、機械が盗難された場合には、GPSで機械の場所を特定し、遠隔操作でエンジンをかけられなくするなどの対策も行っています。このように、IoTデータを活用することで、稼働率の向上や、生産性アップを実現しています。

【農業】作業記録をデジタル化し稲作を支援する「豊作計画」

自動車メーカーのトヨタ自動車株式会社が開発した農業IT管理ツール「豊作計画」は、広範囲に分断している水田を集約的に管理し、効率的な農作業を可能にするクラウドサービスです。農作業の記録をデジタル化し、廃棄ロスの削減や出荷遅れなどのリスク低減に貢献しているほか、生産計画や人員の稼働計画などの管理業務を効率化しています。

【医療】毎日の服薬を支援する 「プレタールアシストシステム」

大塚製薬株式会社NECは、脳梗塞再発抑制薬プレタールOD錠100mgの毎日の服薬をアシストする「プレタールアシストシステム」を共同開発しています。専用容器と別売りのIoTに対応した「服薬アシストモジュール」を一緒に使用することで、服薬時間帯になるとLEDが点滅し、患者に服薬のタイミングを知らせるなど、飲み忘れの防止をサポートしてくれるものです。連携するスマートフォンアプリなどを利用して、服薬履歴を受信・保存できるため、医療機関受診時に正確な服薬履歴を医師に伝えることも可能となりました。

【物流】リアルタイムで荷物を管理する「World Keeper」

ユーピーアール株式会社の「World Keeper」は、世界中に配送される荷物をどこからでもリアルタイムに監視・管理できる物流ソリューションです。荷物の輸送環境や所在地を把握し、異常があった場合にはパソコンやスマートフォンに通知が届きます。希少品の輸送や指定の温度帯がある商品の輸送などに活用されています。

【交通】公共交通の運行情報実証実験を官民で連携「スマートモビリティチャレンジ」

経済産業省と国土交通省が協働で立ち上げた「スマートモビリティチャレンジ」は、IoTやAIなどのテクノロジーを活用しながら、日本国内での新たなモビリティサービスの実装に向けて地域と企業の協働を促すプロジェクトです。2020年には、先駆的にスマートモビリティの社会実装に挑戦する地域を公募し、選出された地域は自動走行を活用した実証実験などに取り組んでいます。

【防災】災害発生時の状況を可視化する「Iot×G空間地域防災システム構築事業」

福岡県糸島市では、九州大学附属アジア防災研究センターと連携してG空間情報システムと防災業務支援システムを組み合わせた「Iot×G空間地域防災システム構築事業」を実施しています。このシステムは、地図や衛星などから得られる位置情報(G空間情報)とIoTを組み合わせることで、気象庁の災害情報などをもとに災害の被害状況を予測し可視化できるものです。G空間情報技術とIoTを活用することで、災害対策本部の意思決定支援や判断の迅速化に貢献しています。

生活に身近な「家」に関する活用事例

近年では、私たちの生活空間である家にもさまざまなIoT技術が活用されています。

IoT家電

テレビやエアコン、洗濯機、ロボット掃除機などインターネットに接続した家電が普及し、私たちの生活をより便利にしてくれています。こうした身近な家電がインターネットにつながることで、外出先から家電の操作ができたり、家電の稼働状況を数値化したりでき、省エネや家事の効率化を実現しています。

IoT住宅

IoT技術やIoT機器を取り入れた住宅の普及も進んでいます。IoT住宅では、テレビや玄関ドア、照明やカーテンなど、インターネットにつながっているあらゆるモノの状態を把握し、スマートフォンなどを使って遠隔から操作することができます。住宅をIoT化することで、毎日の生活をサポートしてより快適に暮らすことができるでしょう。

IoT技術の需要と将来性

IoTはさまざまな場面で、 私たちの生活を支えています。IoTは今後どのように進化していくのでしょうか。

5Gによりできることの可能性が広がる

IoTの普及により、今後さらにインターネットに接続して活用される「モノ」が増えていくことが予想されています。それにより、データ通信量はこれまでよりも増加すると考えられるでしょう。大量のデータをスムーズに送受信し処理するためには「5G」という高速大容量で多数同時接続、低遅延を実現する次世代の通信技術が欠かせません。「5G」の活用により、IoTのさらなる普及を後押しし、より多くの分野や職種でできることの可能性が広がるでしょう。

AIを組み合わせてさらに進化していく

IoT技術によって膨大なデータをリアルタイムで取得できますが、そのデータを分析するときに必要とされるのがAIです。AIを活用しデータを解析して加工することで、作業の効率化や高度な予測ができるようになります。このため、IoTだけではなくAIも組み合わせることで、より活用の幅が広がることが期待できるでしょう。

IoTでできることは増え続けている

IoTの急速な普及により、これまで実現が難しいとされていたこともできるようになりました。身近なIoT機器だけではなく、社会のあらゆる分野でIoTの活用は進んでおり、今後もさらに加速していくと考えられています。「5G」やAIなどの技術と組み合わせることにより、IoTで実現できることは増え続けるでしょう。