コラム

レンタルスペース投資は儲からない?始め方や成功させるコツを解説

投資家の間で、「レンタルスペース投資は儲からない?」という声が囁かれています。その一方、レンタルスペース事業の市場規模は拡大を続けており、大手シンクタンクは2025年、8,000億円以上の規模になるという見解を発表しました。躍進する業界だけに、メリットとともにデメリットが注目され、「儲からない?」という懸念が生まれているのでしょう。しかし、レンタルスペース投資は適切な運営方法によって高い収益性を見込めるジャンルです。今回は、レンタルスペース投資を検討中の方に向けて、事業の始め方や成功に導くコツを紹介します。

レンタルスペースとは

レンタルスペースとは、空きスペースを一定時間、有料貸出するサービスのことで、シェアリングエコノミーの一つです。不動産を購入もしくは賃貸し、貸出料で収益を得るレンタルスペース投資は、資産運用の一手法として注目を集めています。

物件の種別は問わず、ビル全棟や店舗全フロア、店舗の一角、マンションの一角、駐車場など、幅広く活用されています。法人や個人はもちろん、自治体が運営するレンタルスペースも少なくありません。

2022年にシンクタンクが実施した調査によると、レンタルスペースは「空き家課題解決」「地域や地域コミュニティ活性化」など、社会課題解決型ビジネスとしても期待されています。

レンタルスペースは、社会のさまざまなニーズに応える「多様性の受け皿」です。形態の一例を下記に取り上げますが、今後、活用シーンはさらに広がっていくことでしょう。

形態一例
パーティールーム大人数が集えるキャパシティや高い防音性を備えた物件が適しています
カフェスペース飲食可能なスペースを貸し出すケースのほか、カフェオーナーが定休日やアイドルタイムに自店舗を貸し出して、売上増加を目指すケースもあります
会議室デスクや椅子、ホワイトボード、電源タップ、プロジェクターのほか、Web会議に対応できるようWi-Fi導入が必須です
撮影スタジオ「空間を自由にデコレーションして、写真や動画を撮影したい」というニーズに対応する形態です。概して、従来の撮影スタジオより格安で提供されています
キッチンスタジオキッチンやダイニングテーブル、調理器具を備えたレンタルスペースは、調理風景の撮影やパーティ、料理教室などさまざまな用途で使用されています
イベントスペースシンプルで広い間取りの物件が適しています。机や椅子等の備品をそろえておけば、各種イベントだけでなく会議や会食、商品説明会など幅広いニーズに対応できるでしょう
シアタールーム「友人や恋人等、少人数で映画を鑑賞したいが、自宅で大音量の視聴は難しい」というユーザー向けのレンタルスペースです。スクリーンやプロジェクター、音響機器、防音設備等が必要です
作業スペース芸術活動やDIYを目的としたユーザー向けのスペースです
ダンススタジオ騒音問題をクリアできる物件が必要ですが、固定客を獲得しやすい形態といえます。鏡張りの広いスペースがあると需要が高まるでしょう
※参考:スペースシェア総研「第1回 スペースシェアに関する全国実態調査(2022年)

レンタルスペースが儲からないと言われる理由

「レンタルスペースが儲からない」と言われる理由として、収益の不安定性や立地選びの難しさ、管理業務に対する不安が挙げられます。

収入が安定しにくい

マンションやアパートの賃貸経営であれば、長期的な安定収入を得ることも可能ですが、レンタルスペースの場合、収入が不安定になりやすいというデメリットがあります。時間単位で貸し出すため単価が上がり、高い収益性を見込めますが、長期的な利益予測は難しい場合があるでしょう。

立地条件が重視される

レンタルスペースの集客は、立地に大きく左右されます。一般的に、乗降客数の多い駅に近く、競合の少ない都市エリアが望ましいと言われています。場所や用途によっては、駐車スペースの有無や駅からの動線も重要な要素でしょう。また、ターゲットとエリア特性が合致していなければ集客には結びつきません。たとえば、学生街で会議室を貸し出したり、シニア層の多いエリアでパーティールームを貸し出したりしても、ニーズは低いでしょう。

管理に労力を要する

レンタルスペースは時間単位で契約が発生するため、予約管理や売上管理、設備管理などの処理回数が増えます。不特定多数が利用するため、マナー向上を図れなかった場合、室内の汚れや騒音、設備破損などのトラブルを招き、余計な手間がかかる恐れもあります。

鍵の受け渡しも、方法によっては労力が必要です。キーボックスなどを使用するのはセキュリティ上不安がありますが、対面での手渡しは業務負担になるでしょう。鍵の受け渡し方法については、後ほど改めて解説します。管理業務を運営代行会社に委託するという方法もありますが、費用対効果を検証しなければなりません。

レンタルスペース投資のメリット

レンタルスペース投資は、不動産投資の中でも比較的初期費用が低額です。ハードルの低さによって参入事業者が増え、利用人口の増加や業界全体の底上げという好循環が生まれています。

初期費用を抑えることができる

レンタルスペース投資は少額資金で始めやすい点が魅力の一つです。居住用に貸し出す場合、築年数によって物件の価値が上下しますが、レンタルスペースであれば築年数はさほど重要視されません。用途にもよりますが、居住用と比べ設備にかける費用も抑えることができます。

一般的に、初期費用は50~200万円程と言われており、初期費用が抑えられる分、成功すれば200~300%の利回りを実現できるでしょう。初期費用回収の期間は、1~2年が目安とされています。

働き方の変化に伴い、需要が増加している

withコロナの働き方は多様化しており、会社・自宅以外のワークプレイスを導入する会社が増えています。また、クラウドソーシング会社が2021年に実施した調査によると、国内のフリーランス人口は1,500万人に上り、自由な場所で働くプロフェッショナルが活躍の場を広げています。

このような働き方の変化やフリーランスの増加に伴い、「仕事に集中できる場」や「プロフェッショナルなサービスを提供する場」としてレンタルスペースの需要が増加しているのです。

(※参考:ランサーズ株式会社「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」)

集客のためのプラットフォームが複数ある

レンタルスペースの集客促進には、プラットフォームへの掲載が必要不可欠です。多くの場合、20~35%の成約手数料を支払う必要がありますが、プラットフォーム掲載はSEO対策にも有効でしょう。

自動予約システムやGoogleカレンダー連携システムを導入しているプラットフォームも複数存在しており、業務効率化を図ることができます。

レンタルスペース投資を始めるときの4ステップ

レンタルスペース運営者は、たとえ副業であっても、事業主として法律や慣例を守る必要があります。後々のトラブルを避けるためにも、適切なステップを踏んで事業を開始しましょう。

<ステップ1>税務署などに必要書類を提出する

レンタルスペース投資を始める際、特段の資格は必要ありませんが、事業主として各種届出が必要です。個人で開業する場合、事業開始から1カ月以内に所轄の税務署に開業届を提出します。

内部の造りを大きく変更する場合、所轄の消防署に「防火対象物工事計画届出」の提出が必要となる可能性があります。飲食施設として貸し出すには、「防火対象物使用開始届出書」「火を使用する設備等の設置の届出書」等の提出が必要となるでしょう。

また、食べ物を販売する場合、保健所への届出が必要です。業種によって「飲食店営業許可」「菓子製造業許可」等に分けられていますが、営業許可が下りるにはさまざまな要件が求められるため、事前に所轄の保健所へ相談しましょう。

(※参考:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」)

(※参考:厚生労働省「食品衛生申請等システム」)

<ステップ2>物件を借りる、または購入する

レンタルスペースの物件を確保する方法として、「既存の所有物件を活用する」「借りる」「購入する」という3つのパターンがあります。借りる場合は、用途に適した物件であるか、立地条件が良いか等を勘案しましょう。オーナーには事前にレンタルスペースとして使用する意向を伝え、許可を得る必要があります。

賃貸契約には、一般的な「普通借家契約」のほかに、賃貸借期間を過ぎると契約を結び直さなければならない「定期借家契約」が存在するため、注意が必要です。また、レンタルスペースに特化した不動産業者とつながりを持てれば、物件探しがスムーズに運ぶこともあります。

(※参考:国土交通省「定期借家制度をご存じですか・・・?」)

<ステップ3>物件設備を整える

設備を整える際は、ターゲットのニーズを汲み取る必要があります。たとえば女性向けのカフェスペースであれば、キッチン設備や家具、食器類といった最低限の設備に加え、加湿器や黒板、ハイセンスな雑貨などを用意するとよいでしょう。予算との兼ね合いを図りながら、利用者目線で設備のリストアップを行いましょう。

<ステップ4>利用者を募集する

利用者を募集するための媒体として、プラットフォーム(ポータルサイト)や自社サイト、SNS、ポスティング、広告などが考えられます。認知度が上がるまではプラットフォームを活用しながら、自社サイトやSNSの充実を図るとよいでしょう。代表的なプラットフォームとして、「スペースマーケット」「インスタベース」「スぺナビ」「カシカシ」などが挙げられます。

プラットフォームを活用して検索上位に表示されるためには、ユーザーの目に留まる写真をアップして、クリック率を高めることが重要です。また、初めての人でも安心して利用できるよう、下見の受け入れや店内ツアー動画のアップなどを行うと、新規獲得につながるかもしれません。

レンタルスペース投資を成功させる3つのコツ

いくつかのポイントを押さえれば、レンタルスペース投資を成功に導くことができます。事業をいち早く軌道に乗せるには、開業前に下記の実施をおすすめします。

コツ(1)利用者が多いエリアで物件を探す

集客を見込めるエリアに出店できるよう、国勢調査や住民基本台帳人口移動報告、商業統計等を基に、住民の属性調査や商圏分析を行うとよいでしょう。また、検索ボリュームの調査も地域的なニーズの把握に役立ちます。Googleキーワードプランナーでエリア名と「レンタルスペース」を入力すると、そのエリアでどの程度「レンタルスペース」が検索されているかが分かります。ただし、Google広告の出稿者でなければおおよその数値しか分からないという難点があります。

会議室やシェアオフィスを出店するならオフィス街、自習室を出店するなら子育て世帯が多いエリアというように、用途に応じた立地選びも大切です。エリアマーケティングを行った上で、集客を見込める立地を選びましょう。

コツ(2)相場を意識した価格設定を行う

レンタルスペースの利用料金は、立地や広さ、用途、設備等によって異なるため、類似施設の相場を意識しながら設定しましょう。相場表を公開しているポータルサイトもあるので、なるべく公開日の新しいページを探し、参考にしてはいかがでしょうか。

ポータルサイトの条件検索機能を活用すると、比較的簡単に相場を調査できます。店舗の用途やエリア、広さなどを入力して検索すると類似した施設が表示されるため、価格帯をリサーチできるでしょう。

(※参考:スペースマーケット「レンタルスペース運営に必見! 料金の相場表を公開します」)

コツ(3)運営コストを抑える

レンタルスペースの運営費を抑えるには、人件費のコストカットが有効です。省人化を図る部分として、まず予約管理業務が挙げられます。予約システムを導入すれば、スタッフを配置せずに24時間予約受付や事前決済が可能となるため省人化を実現できるだけでなく、ダブルブッキングのリスクを回避できるでしょう。

鍵の受け渡しも、さまざまな方法で省人化が可能です。暗証番号で施錠・解錠するキーボックスや電気錠という方法もありますが、定期的に暗証番号を変更しなければ不法侵入などの危険性があります。スマホアプリだけで施錠・解錠できるスマートロックを導入すれば、セキュリティ対策と省人化を図れるでしょう。

レンタルスペース投資には、運営コスト削減ができる「むじんLOCK」がおすすめ

業務効率化と省人化を進め、運営コスト削減を実現するには、スマートロック「むじんLOCK」の導入をおすすめします。錠は既存のドアに後付けで設置でき、利用者はスマホやカードキーで施錠・解錠が可能。入退室履歴の記録や、利用時間に応じた請求も自動的に行えます。

24時間稼働できるため顧客獲得の機会損失を防ぎ、省人・無人運営によってコストを削減できます。利用者にとっても利便性が高く、顧客満足度向上につながるでしょう。

儲かるレンタルスペース投資に挑戦しよう

レンタルスペース投資は、他の資産運用と同様にさまざまなリスクが伴います。しかし、リスクヘッジを徹底し業務効率化を図れば、最小限の労力で高い収益性を実現できます。日本経済が先行き不透明な現代、将来に備えて投資を始めたいという方は、レンタルスペース事業を視野に入れてみてはいかがでしょうか。