コラム
小規模事業者持続化補助金の対象経費、取組例をわかりやすく解説<令和3年度補正予算の変更点あり>

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が新たに行う販路開拓等の取り組みを支援する補助金です。以前からある通常時の「一般型」と、新型コロナウイルス感染症の影響を抑えた低感染リスク対応の販路開拓等の取り組みを支援する「低感染リスク型ビジネス枠」があります。本記事では、令和3年度補正予算の変更点も含め、小規模事業者持続化補助金の概要や対象経費、取り組み例をわかりやすく解説します。

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が経営計画を作成し、その計画に沿って行う販路開拓や生産性向上の取り組み等を支援する補助金のこと。大企業に比べ、コスト面での制約がある小規模事業者が、経営環境の変化に対応するための新たな販売促進を行うことを支援する制度です。

小規模事業者持続化補助金には、「一般型」と、新型コロナウイルス感染症の影響を抑えた低感染リスク対応の販路開拓等の取り組みを支援する「低感染リスク型ビジネス枠」の2つがあります。

小規模事業者の定義

小規模事業者持続化補助金の補助対象となる「小規模事業者」とは、常時使用する従業員が20人(商業・サービス業の場合は5人※宿泊業・娯楽業を除く)以下の法人・個人事業主が該当します。以下の表にわかりやすくまとめます。

業種人数
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)常時使用する従業員の数 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他常時使用する従業員の数 20人以下
【小規模事業者の定義】

「商業・サービス業」、「宿泊業・娯楽業」、「製造業その他」としてまとめられる業種の具体的な事業内容については、以下のサイトを参考にしましょう。
(参考:日本商工会議所「小規模事業者持続化補助金<一般型について>」)

【令和元年度補正予算】小規模事業者持続化補助金<一般型>とは

小規模事業者持続化補助金<一般型>とは、前述した小規模事業者等が、地域の商工会または商工会議所の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の一部を補助する制度です。
(参考:日本商工会議所「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】第 13 版:2021年10月13日」)

補助金対象者

補助金の対象者は、事業を営む「小規模事業者」及び、一定の要件を満たした特定非営利活動法人が該当します。補助対象の範囲を事前に確認をしましょう。

【補助対象となりうる者】

補助金対象者要件詳細
会社および会社に準ずる営利法人株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合
個人事業主商工業者であること
一定の要件を満たした特定非営利活動法人常時使用する従業員の数が20人以下法人税法上の収益事業を行っていること認定特定非営利活動法人でないこと

【補助対象にならない者】

・医師、歯科医師、助産師・系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様)
・協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
・一般社団法人、公益社団法人
・医療法人
・宗教法人
・学校法人
・農事組合法人
・社会福祉法人
・申請時点で開業していない創業予定者(例えば、既に税務署に開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は対象外)
・任意団体 等

補助率・補助上限額

補助率と補助上限額は以下のとおりです。

【補助率】:3分の2
【補助上限額】:50万円

(※1 特定創業支援等に該当する場合は上記に+50万円、適用条件あり)
(※2 補助上限額は1事業者あたり最大50万円。複数の小規模事業者等で共同申請する場合は、「1事業者あたりの補助上限額50万円×連携する事業者数」が補助上限額となり、最大10者まで共同申請可能)

補助対象経費

小規模事業者持続化補助金<一般型>の対象となる経費は、以下の13項目です。

【補助対象の経費項目】

1.機械装置等費
2.広報費
3.展示会等出展費
4.旅費
5.開発費
6.資料購入費
7.雑役務費
8.借料
9.専門家謝金
10.専門家旅費
11.設備処分費(補助対象経費の総額の1/2が上限)
12.委託費
13.外注費

上記の13項目のいずれかに該当する経費項目であるのに加え、以下の3つの条件をすべて満たした経費が「補助対象経費」となります。

【補助対象経費の条件】

(1)使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
(2)交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
(3)証拠資料等によって支払金額が確認できる経費

補助対象事業の例

小規模事業者持続化補助金<一般型>の補助対象事業は、商工会議所または商工会の支援を受けながら実施することが前提です。また、小規模事業者などの生産性向上を目的とした、「①地道な販路開拓などの取り組み」または「②業務効率化のための取り組み」のどちらかに該当する必要があります。

①地道な販路開拓等(生産性向上)の取り組み

地道な販路開拓などの取り組みとは、具体的には以下のようなケースです。

取り組み例経費項目例
新商品を陳列するための棚の購入機械装置等費
ネット販売システムの構築広報費
国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加展示会出展費
新商品の開発開発費
商品の開発にあたって必要な図書の購入資料購入費
新たな販促用チラシのポスティング雑労務費
国内外での商品PRイベント会場借上借料
ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導や助言専門家謝金
店舗改装外注費

②業務効率化(生産性向上)の取り組み

業務効率化のための取り組みは大きく、「サービス提供などの取り組みに関する事例」と「ITを活用した取り組みの事例」の2つに分けられます。

【サービス提供などの取り組みに関する例】

取り組み例経費項目例
業務改善の専門家からの指導や助言で、長時間労働を削減する専門家謝金
従業員の作業動線の確保や、整理スペースの導入のための店舗改装外注費

【ITを活用した取り組みの例】

取り組み例経費項目例
新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する機械装置等費
新たに決済システムのソフトウェアを導入し、事業管理を省人化、決算業務を効率化する機械装置等費

申請の流れ

ここからは、小規模事業者持続化補助金<一般型>の申請手続きの流れを紹介します。

【申請から補助金受領までの基本的な手続きの流れ】

①経営計画書・補助事業計画書の作成
②事業所所在地管轄の商工会議所または商工会にて事業支援計画書等の作成を依頼
③申請書類の提出
④商工会議所または商工会にて審査、採択・不採択の通知
⑤交付決定、販路開拓の取り組み実施
⑥所定の期限までに実施報告書等の提出
⑦商工会議所または商工会による報告書等の確認
⑧補助金の交付

※上記手順の、①・②・⑤では商工会議所または商工会の指導助言があります。

小規模事業者持続化補助金<一般型>は、交付決定を受けて補助金を受け取るのではなく、事業者が行った補助事業の実施報告書を提出し、商工会議所または商工会による確認後に補助金を受け取ることができます。申請手続きの途中で補助金が支払われることはないため、あくまでも取り組みでかかった費用については、先に自己資金で全額支払う必要があることを理解しておきましょう。

今後の公募スケジュール(2022年2月時点)

2022年2月現在、小規模事業者持続化補助金<一般型>は、第7回の受付(締め切り:2022年2月4日(金)締切)が終了しています。

中小企業庁では、今後の公募も継続する方針のようですが、詳細なスケジュールについては未定です。第8回以降の受付および、制度の詳しい内容については、日本商工会議所「小規模事業者補助金」公式サイトを確認しましょう。
(参考:中小企業庁「ミラサポplus」)

申請窓口

応募申請手続きの窓口は、商工会議所地区については「日本商工会議所」、商工会地区については「全国商工会連合会」と2つあります。それぞれカバーする地区が異なり、商工会議所は主に市および特別区、商工会は主に町村の窓口です。申請の際には、事業所の管轄地域にある商工会議所もしくは商工会の確認が必要となるため、事前に窓口の確認を行いましょう。また、申請は書類郵送の他、電子申請システム「Jグランツ」による電子申請も受け付けています。
(参考:日本商工会議所「令和元年度補正予算小規模事業者持続化補助金」
(参考:全国商工会連合会「令和元年度補正予算小規模事業者持続化補助金<一般型>」)

【令和2年度第3次補正予算】小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>とは

小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>とは、新型コロナウイルス感染症拡大防止と事業継続を両立することを支援する制度です。感染拡大防止のための対人接触機会の減少、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助します。
(参考:全国商工会連合会「令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金 <低感染リスク型ビジネス枠>」)
(参考:小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>補助金事務局(全国商工会連合会)「令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金 <低感染リスク型ビジネス枠> 公募要領 第15版:2022年1月17日」)

補助金対象者

<低感染リスク型ビジネス枠>補助金の対象者は、<一般型>とほぼ同様で、事業を営む「小規模事業者」および、一定の要件を満たした特定非営利活動法人が該当します。ただし、「過去の持続化補助金の一般型(受付締切日の前10か月以内)、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠で採択されていないこと」が条件です。再度申請可能になる事業者など、対象者の要件については、補助金事務局の発行する「丸わかり!小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠> 2021年11月1日時点版」にまとめられています。補助対象者に該当しているか、事前に確認をしましょう。

補助率・補助上限額

補助率と補助上限額は以下のとおりです。

【補助率】:4分の3
【補助上限額】:100万円

(※1 後述する補助対象の経費項目「12.感染防止対策費」の補助率は、補助対象経費のうち4分の1上限、緊急事態措置に伴う特別措置を適用した場合は2分の1)
(※2 2021年1月8日以降に発注、支払い、使用した経費も補助対象)

補助対象経費

<低感染リスク型ビジネス枠>の対象となる経費は、以下の12項目です。<一般型>の経費項目から「旅費」「専門家旅費」を対象外とし、「感染防止対策費」が追加されています。また、補助対象の経費には条件があり、すべての条件を満たさないと補助対象経費になりません。補助対象経費の条件については、最新の公募要領を確認しましょう。

【補助対象の経費項目】

1 機械装置等費
2.広報費
3.展示会等出展費(オンラインによる展示会等に限る)
4.開発費
5.資料購入費
6.雑役務費
7.借料
8.専門家謝金
9.設備処分費
10.委託費
11.外注費
12.感染防止対策費(※)業種別ガイドラインに基づく感染防止対策

補助対象事業の例

補助対象事業となるには、補助事業計画に「対人接触機会の減少」「新たな取り組み」の記載が必要となります。では具体的にはどのような取り組みが補助対象となるのでしょうか。補助金の活用例を費用項目とあわせ紹介します。

機械・ITツールの導入(対人接触機会を減らす取り組み)

従業員と利用者の直接的な接点を減らすために、対面からセルフへ以降するなどで、機械・ITツールを導入した場合が該当します。

取り組み例経費項目例
セルフレジ、キャッシュレス決済端末、券売機、自動販売機の設置機械装置等費
セルフオーダーシステムや決済システムの構築開発費

オンライン化(対人接触機会を減らす取り組み)

店舗での物販や対面・集合型のイベントからECサイトでの物販、イベントのオンライン開催に変更した場合が該当します。

取り組み例経費項目例
オンライン販売サイトの開発開発費
オンライン営業・レッスン用動画の作成外注費
展示会等出展費オンライン展示会

手段変更(対人接触機会を減らす取り組み)

これまで飲食店舗で対応していたサービスの手段を変更し、店内利用から移動販売、テイクアウトなど、新たな手段の導入なども補助対象です。

取り組み例経費項目例
デリバリー用の保温器、キッチンカーの導入機械装置等費
テイクアウト紹介チラシ制作広報費
チラシポスティング、ポスティングのアルバイト雇用外注費・雑役務費等

密になる状況を回避(対人接触機会を減らす取り組み)

従業員や利用者同士が同一スペースにおいて接触・対面する機会を減らすための新たな取り組みも対象です。

取り組み例経費項目例
来店予約やテレワーク作業用のソフトウェア導入機械装置等費
個室化のための工事外注費
スペースを拡げるための解体費設備処分費

申請の流れ

<低感染リスク型ビジネス枠>の申請から請求、事業効果報告まで全ての手続きは、電子申請システム「Jグランツ」上で行います。Jグランツの利用には、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。アカウントの発行には1週間程度かかるため、未取得の場合、まずは利用登録からはじめましょう。以下に「申請」から「事業完了」までの流れを順にまとめます。

【<低感染リスク型ビジネス枠>「申請」から「事業完了」までの流れ】

①GビズIDプライムアカウント取得
②提出書類の準備
③申請
④採択・交付申請・交付決定
⑤事業実施期間
⑥補助事業の完了・実施報告書の提出
⑦事業効果報告

申請に必要な書類の確認、ダウンロードや申請・報告方法などの詳細については、小規模事業者補助金<低感染リスク型ビジネス枠>公式サイトの「申請から事業終了の流れ」をまとめたページに記載されているので、参考にしてください。

今後の公募スケジュール(2022年2月時点)

2022年2月現在、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>は、第6回の受付(締め切り:2022年3月9日(水)17時)が行われています。今後の公募スケジュールについては、小規模事業者補助金<低感染リスク型ビジネス枠>の公式サイトの「スケジュール」をご確認ください。

申請窓口

前述の通り、<低感染リスク型ビジネス枠>の申請は、電子申請システム「Jグランツ」からのみ受付可能です。Jグランツの入力に必要なルールや操作方法を解説している「Jグランツ入力手引き」は、「規模事業者補助金<低感染リスク型ビジネス枠>公式サイト」からダウンロードすることができます。手引を参考に、不備なく電子申請を行いましょう。

小規模事業者持続化補助金の採択率

ここからは小規模事業者持続化補助金の採択率について、<一般型>と<低感染リスク型ビジネス枠>それぞれの公募実施回に分け紹介します。

小規模事業者持続化補助金<一般型>の採択率

<一般型>の「申請件数」と「採択件数」、「採択率(小数点以下四捨五入)」の推移は以下の通りです。

【小規模事業者持続化補助金<一般型>の採択実績】

公募回採択発表日応募件数採択件数採択率(%)
第1回R2.5.228,044件7,308件91%
第2回R2.8.719,154件12,478件65%
第3回R3.1.2213,642件7,040件52%
第4回R3.4.2816,126件7,128件44%
第5回R3.8.3112,738件6,869件54%
第6回R3.12.229,914件6,846件69%

小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>の採択率

<低感染リスク型ビジネス枠>の「申請件数」と「採択件数」、「採択率(小数点以下四捨五入)」の推移は以下の通りです。

【小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>の採択実績】

公募回採択発表日応募件数採択件数採択率(%)
第1回R3.7.27,827件3,512件45%
第2回R3.9.110,205件5,361件53%
第3回R3.11.28,056件5,022件62%
第4回R4.1.68,243件5,780件70%

【令和3年度補正予算】小規模事業者持続化補助金の変更点

2021年12月20日に、令和3年度補正予算が成立し、令和4年度においても「持続化補助金」の事業が継続されることが決まりました。詳細については、今後公表される公募要領等で明らかになりますが、現在までに分かっている変更点について紹介します。

【小規模事業者持続化補助金の予算内容】
小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓等に加え、賃上げや事業規模の拡大(成長・分配強化枠)や創業や後継ぎ候補者の新たな取り組み(新陳代謝枠)、インボイス発行事業者への転換(インボイス枠)といった環境変化に関する取り組みがあらたに追加されています。

【小規模事業者持続化補助金の予算内容、変更内容について】

申請類型補助上限額補助率主な変更内容・特徴
通常枠50万円(※1)3分の2(※1)法人設立日(開業日)により上限が100万円に引き上がる可能性あり
成長・分配強化枠200万円3分の2
一部の類型において、赤字事業者は4分の3を補助
業況が厳しい中で賃上げ等に取り組む小規模事業者向けに特別枠を設け、補助率や上限額を引上げ
新陳代謝枠200万円3分の2後継ぎ候補者が実施する新たな取り組みや創業を支援する特別枠を設け、上限額を引上げ
インボイス枠100万円3分の2インボイス発行事業者に転換する場合の環境変化への対応を支援する特別枠を設け、上限額を引上げ

小規模事業者持続化補助金を活用してむじんLOCKの導入が可能

小規模事業者持続化補助金は、スマートロック連携課金決済システム「むじんLOCK」の導入にも活用することが可能です。こうした先端ツールは大企業が先行して導入しているイメージですが、持続化補助金を活用することで小規模事業者でも導入しやすくなります。

むじんLOCKは、ドアに設置したスマートロックと連携する非接触型のサービスで、登録ユーザーの入退室記録に基づき、スペースの利用料金請求から決済・入金までの情報処理をコンピューターが実行、一括管理が可能。導入することで、店舗やスペースの無人化・省人化運営を可能にします。小規模事業者持続化補助金の補助対象である業務効率化のための取り組み、生産性向上、新たなサービス提供として販路開拓につながります。今回の記事を参考に、むじんLOCKの導入を検討してみてはいかがでしょうか。