コラム
ものづくり補助金とは?概要や申請要件などを解説。<令和3年度補正予算10次締切に対応>

中小企業・小規模事業者などの生産性向上に資する取り組みを支援する「ものづくり補助金」は、革新的サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際にはぜひ活用したい補助金です。本記事では、令和3年度補正予算10次締切に対応した「ものづくり補助金」の概要や新設された枠組み、申請要件などを詳しく解説します。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称で、中小企業・小規模事業者等が、賃上げやインボイス導入、働き方改革などに対応するための取り組みを支援するものです。補助金の対象には、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等が該当します。

ものづくり補助金の大きな枠組みは2つで、「一般型・グローバル展開型」(事業者向け)と「ビジネスモデル構築型」(支援者向け)があります。本記事では、現在公募要領が公開されている、「令和3年度補正予算第10次締切 一般型・グローバル展開型」について解説します。

※中小企業による経営革新のための設備投資等を支援する「ビジネスモデル構築型」(支援者向け)は、現在公募が行われていません。(2022年3月時点)

(参考:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(10次締切分)」)

補助対象者

補助対象者は、日本国内に本社及び補助事業の実施場所がある企業や個人で、以下の①~④のいずれかの要件を満たす必要があります。ただし、グローバル展開型の①類型については、事業実施場所が海外でも対象です。

対象条件の詳細は、公募要領の「補助対象者」を確認しましょう。

①中小企業者(組合関連以外・個人事業主を含む)

資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること。

業種資本金   常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円300人
旅館業 5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

ただし、発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有しているような会社はみなし大企業となり、補助対象外となります。

②中小企業者(組合関連)

以下の組合等に該当すること。

組織形態
・企業組合
・協業組合
・事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
・商工組合、商工組合連合会
・商店街振興組合、商店街振興組合連合会
・水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
・(※)生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
・(※)酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会
・(※)内航海運組合、内航海運組合連合会
・技術研究組合(直接又は間接の構成員の3分の2以上が①中小企業者(組合関連以外)に該当するもの、企業組合、協業組合であるもの)

※印の組合等は、公募要領「補助対象者」に補足事項がありますので、事前に詳細を確認しましょう。

③特定事業者の一部(個人事業主を含む)

従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人のうち、資本金の額又は出資の総額が10億円未満であるもの。

業種常勤従業員数 
製造業、建設業、運輸業500人
卸売業400人
サービス業又は小売業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) 300人
その他の業種(上記以外)500人

④特定非営利活動法人

補助対象となる特定非営利活動法人は以下のとおりです。

・広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う特定非営利活動法人であること。
・従業員数が300人以下であること。
・法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条第1項に規定される34事業)を行う特定非営利活動法人であること。
・認定特定非営利活動法人ではないこと。
・交付決定時までに補助金の事業に係る経営力向上計画の認定を受けていること。

【令和3年度補正予算10次締切】で新設された枠組み・補助率について

令和3年度補正予算が成立し、ものづくり補助金は制度の拡充・見直しにより、補助対象事業の申請類型、要件、補助率等が変更されました。具体的には、9次締切まであった「新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)」が終了し、10次締切ではこれまでの一般型<通常枠>、グローバル展開型の他、一般型に新たな枠組みが新設され、<回復型賃上げ・雇用拡大枠><デジタル枠> <グリーン枠>が追加されています。ここでは、10次締切分のものづくり補助金について、枠組みごとに概要、補助率などを説明します。

一般型<通常枠>

項目   要件
概要革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
補助金額従業員数 
・5人以下:100万円~ 750万円
・6人~20人:100万円~1,000万円
・21人以上 :100万円~1,250万円
補助率・1/2
・小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は 2/3
設備投資単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

申請要件

一般型<通常枠>を申請するには、以下の①~ ③全ての要件を満たし、3~5年の事業計画を策定していることが基本要件として必須です。

基本要件①  事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
基本要件②事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
基本要件③事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

一般型<回復型賃上げ・雇用拡大枠>

項目   要件
概要業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者(※)が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援※応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロであり、常時使用する従業員がいる事業者に限る。
補助金額従業員数
 ・5人以下:100万円~ 750万円
・6人~20人:100万円~1,000万円
・21人以上 :100万円~1,250万円
補助率2/3
設備投資単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

申請要件

回復型賃上げ・雇用拡大枠については、一般型<通常枠>に記載した3つの基本要件に加えて、次の申請要件を満たす必要があります。

①前年度の事業年度の課税所得がゼロであること。
②常時使用する従業員がいること。
③補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成すること。

一般型<デジタル枠>

項目   要件
概要DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開 発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
補助金額従業員数 
・5人以下:100万円~ 750万円
・6人~20人:100万円~1,000万円
・21人以上 :100万円~1,250万円
補助率2/3
設備投資単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

申請要件

デジタル枠も、一般型<通常枠>に記載した基本要件に加えて、以下の(1)~(3)全ての要件に該当する必要があります。

(1)次の①又は②に該当する事業であること。①DXに資する革新的な製品・サービスの開発②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善

(2)経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。

(3)独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を行っていること。

<一般型<グリーン枠>

項目       要件
概要温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 
補助金額従業員数
・5人以下:100万円~ 1,000万円
・6人~20人:100万円~1,500万円
・21人以上 :100万円~2,000万円
補助率2/3
設備投資単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

申請要件

グリーン枠については、一般型<通常枠>に記載した基本要件に加えて、以下(1)~(3)の全ての要件に該当する必要があります。

(1)次の①又は②に該当する事業であること。
①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発
②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善

(2)3〜 5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること。

(3)これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(有る場合はその具体的な取組内容)を示すこと。

グローバル展開型

項目   要件
概要海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」又は 「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの) 
補助金額1,000万円~ 3,000万円
補助率2/3
設備投資単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

申請要件

グローバル展開型については、以下の①~④のいずれか一つの類型の各条件を満たす投資であることが必要です。

①類型:海外直接投資
②類型:海外市場開拓
③類型:インバウンド市場開拓
④類型:海外事業者との共同事業

各類型の詳細については公募要項「4. 補助対象事業の要件 」で確認することができます。

補助対象経費

補助対象経費は、交付決定を受けた日付以降に発注を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限ります。対象経費の区分は以下の表の通りです。
詳細は公募要項「7.補助対象経費 」にてご確認ください。

補助対象経費区分      内容
機械装置・システム構築費① 専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する経費
② 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
③ ①若しくは②と一体で行う、改良・修繕又は据付けに要する経費
技術導入費本事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費
※上限額=補助対象経費 総額(税抜き)の1/3
専門家経費本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
※上限額=補助対象経費 総額(税抜き)の1/2
運搬費 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
クラウドサービス利用費クラウドサービスの利用に関する経費
原材料費試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
外注費新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
※上限額=補助対象経費 総額(税抜き)の1/2
知的財産権等関連経費新製品・サービスの事業化に当たって必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用、外国特許出願のための翻訳料等の知的財産権等取得に関連する経費
※上限額=補助対象経費 総額(税抜き)の1/3
海外旅費(グローバル展開型のみ)海外事業の拡大・強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費
※上限額=補助対象経費 総額(税抜き)の1/5

採択結果と採択率

ものづくり補助金「一般型・グローバル展開型」における、これまでの「応募者数」と「採択件数」、「採択率(小数点以下四捨五入)」の推移は以下の通りです。

締切回応募者数採択者数採択率
1次2,2871,42962%
2次5,7213,26757%
3次6,9232,63738%
4次 一般型10,0413,13231%
4次 グローバル展開型2714617%
5次 一般型5,1392,29146%
5次 グローバル展開型1604629%
6次 一般型4,8752,32648%
6次 グローバル展開型1053634%
7次 一般型5,4142,72950%
7次 グローバル展開型933942%
8次 一般型4,5842,75360%
8次 グローバル展開型692739%

申請の流れ

ものづくり補助金の申請の流れは以下のとおりです。

①公募要領の確認
②事業計画を申請
③採択通知
④交付申請
⑤補助事業実施機関
⑥確定検査
⑦補助金の請求
⑧補助金の支払い
⑨事業化状況報告・知的財産権等報告

ものづくり補助金の申請は、電子申請システム「jGrants」からの受付となります。また、上記②事業計画の申請時点で、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。アカウントID発行には、数週間かかるため、未取得の場合は、必ず事前に利用登録をしておきましょう。

公募スケジュール

現在公募中の10次締切は以下のようなスケジュールです。締切に間に合うよう、準備を進めましょう。

【公募期間】
・公募開始:令和4年2月16日(水)17時~
・申請受付:令和4年3月15日(火)17時~
・応募締切:令和4年5月11日(水)17時

採択事例

ものづくり補助金の採択事例にはどのようなものがあるのでしょうか。実際に採択された過去の事例を紹介します。

【介護事業施設でのクラウド・カメラ・IT端末導入・活用により効率化実現】
グループホームを運営する介護事業者は、国の人員基準より多くの人員を配置し「人の目が行き届いた丁寧な介護」を実施していました。しかし人件費は標準より高くなり、紙ベースでの介護記録の入力や共有に手間がかかっていました。

これらの課題解決のために、ものづくり補助金を活用。安心安全な介護環境の構築を目的にIT化を進めました。具体的には、施設内にカメラを設置し、介護職員と入居者の家族が、IT端末で入居者の様子を確認できる動画配信システムを導入。また、介護記録を電子化しクラウド上で共有しました。それにより、カメラシステムによる利用者の転倒事故防止や、職員の巡回回数の合理化などにつながり、介護の質の向上にもつながっているそうです。

(参考:ものづくり補助事業関連サイト「もの補助成果事例検索:クラウド・カメラ・IT端末の活用による、グループホーム介護事業の効率化と収益向上計画」)

ものづくり補助金は生産性向上を目指す事業の設備投資を支援

ものづくり補助金は、商品開発や新サービス導入など幅広い分野での活用が検討できる補助金です。株式会社コミュニティコムが提供する、スマートロック連携課金決済システム「むじんLOCK」も、生産性向上を目指すための設備投資として、ものづくり補助金を活用できます。「むじんLOCK」は、ドアに設置したスマートロックと連携する非接触型のサービスで、ドアの施錠・解錠、入退室履歴の管理・スペースの予約・請求・決済・入金までを一括管理できるシステムです。導入することで、店舗や施設の無人化・省人化運営を可能にし、生産性向上につながります。

今回の記事を参考に、ものづくり補助金を活用した設備投資をし、組織のDX化を検討してみてはいかがでしょうか。